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最高裁申し入れのご報告

投稿日時: 2009-05-20 (3293 ヒット)

5月19日の最高裁申し入れのご報告


このたびは、急なお願いにもかかわらず、「裁判員制度における被害者のプライバシー確保を求める要請」にご協力いただき、誠にありがとうございました。日曜日の夜9時頃から呼びかけを始めて火曜日の13時頃まで、2日間にも満たないわずかな時間の間に、52団体844名もの賛同が集まりました。本日の申し入れには計15人で行きました。危機感をもって第一声を挙げ、情報を伝えてくださった当事者の方々の努力に、心から感謝もうしあげます。

しかし、これほど多くの人々が懸念を抱いているにもかかわらず、最高裁の方からは、私たちが安心できるような説明はまったく聞けませんでした。対応されたのは秘書課の方2名でしたが、「要請はうけとりました。担当部署に伝えます。しかし私は秘書課なので、伝えるだけ。何も答えられません」ということでした。
具体的に聞きたい質問項目も、文書にして事前にFAXでも送っていたのですが、聞き置くだけの対応でした。すぐに回答が出ないのはしかたないとしても、「回答するかどうかも答えられない」といわれ、ほんとに驚き呆れました。

最高裁側から聞けたのは、次のことです。
対応された秘書課の方は、担当部署(=刑事局)からの説明として、口頭で以下の内容の文書を読み上げられました(文書そのものはもらえませんでした)。

・被害者を特定できる情報を公開の法廷で明らかにしないことに決定されたり、そうなるような事件の場合には、被害者のプライバシー保護のために、情報提供のやり方を慎重に考える。
・具体的なやり方としては、起訴状に記載された事実以上の情報は伝えないとか、犯行場所が被害者の自宅の場合には住所は知らせないことが考えられる。
・被害者を特定できる情報を明らかにしない旨の決定がされたり、そうなるような事件の場合、氏名などは知らせず、住所も●区在住などとして、候補者の方から思い当たる人あげてもらうということも考えられる。
・選任されなかった候補者に、被害者特定情報を口外しないよう求める、筆記をしないよう求めることが考えられる。
・実際にどうするかは、被害者の秘匿性をかんがえて、事案ごとに決める。

この説明によると、やはり、実際に選任されなかった裁判員候補者にも、被害者の氏名など、個人を特定できる情報が伝えられてしまうようです。そして、そういう方たちには、情報を漏らさないように「お願いする」以外の手段は考えられていないようでした。「慎重に考える」とされたケースの場合も、こういう方策が考えられる、ああいう方策が考えられる、という可能性のお話はありましたが、「こういう場合には確実にこういう手段をとります」、という明確な説明はありませんでした。けっきょく、各地方裁判所まかせ、ケースバイケースということのようで、対応がバラバラになることは避けられないようです。

私たちの側からは、
・守秘義務のない裁判員候補に被害者が特定できる情報が伝えられてしまうという問題が基本的に残っている。
・説明されたような、今かんがえられている対策は、どれも確実とはいえないのではないか。
・裁判員が選任されるまでは、被害者を特定できる情報はぜったい開示しないようにできないのか
・被害者の方が、裁判員候補者の名簿を見て、関係者を排除するという方法はとれないのか。
・同じ町村の住民はまず除外するということはできないのか。
・地裁によってばらつきが出てしまうので、最高裁から、「こういうケースの場合には、このような手段をとること」といったガイドラインを示すべきではないか。

といった懸念と要請を伝えましたが、最高裁の側は、ただ聞いて伝えますという答えしかありませんでした。
 また、被害当事者の方、被害者支援団体の参加者も、「多くの被害者が二次被害によって苦しんでいるのに、このような制度が始まってしまうと、プレッシャーはとても大きい。ますます被害をうったえにくくなるのではないか」「周囲の人に事件を知られることが辛いという被害者の方は多い。同じ地域の候補者は外すという代案は現実的だ」という意見を伝えられました。

しかしけっきょく、何一つ、私たちの懸念に応える説明をきくことはできませんでした。「市民参加」をうたうのであれば、制度開始前にできるだけ不安を払拭するような説明があってしかるべきだと思いますが、これほど多くの人々、とりわけ犯罪被害者たちの声になぜ誠意をもって応えようとしないのか、理解に苦しみます。被害者を特定できる情報が、100人に上る候補者すべてに伝えられることはないようだと言われていますが(しかしこの点も最高裁側から明確な説明はありませんでした)、少なければいいという話ではありません。守秘義務のない候補者が被害者を特定できる情報を得てしまうという問題は残っています。
このまま裁判員制度が開始されるのを黙って許すことはできません。今後も取り組みを続けていきたいと思います。いま、第2弾、第3弾のアクションを計画中ですので、ぜひいっしょに知恵を出しあってとりくみましょう。引き続き、ご注目ください。

要請文といっしょに最高裁に渡した質問状の内容はこちら
http://ajwrc.org/doc/statements/saibanin-question.pdf

申し入れに参加している団体(5月19日13:00現在)
アジア女性資料センター、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」、NPO法人女性の安全と健康のための支援教育センター、NPO全国女性シェルターネット、NPO法人サポートハウスじょむ、(財)家族計画国際協力財団、特定非営利活動法人 ハートスペースM、ポラリスプロジェクト、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西、ビデオ工房AKAME、千葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」、性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」、中崎クィアハウス、レディオモモ モザイクモザイク、多摩でDVを考える会、木津川市未来会議、NABA(ナバ):日本アノレキシア(拒食症)・ブリミア(過食症)協会、サバイバーズ・ジャスティス、ホワイト・リボン・キャンペーン、くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク、茨木市男女共同参画社会推進登録団体 グループ とぉく、W・Sひょうご、クラリティ、主婦戦線、はらんきょうの会、ハンドインハンド岡山、女性自衛官の人権裁判を支援する会、(社)大学女性協会 女性の地位委員会、目黒精神保健を考える会、福岡教育大学LGBTAAサークルあめのちにじ、WESTらいず、ウィメンズカウンセリング京都、性暴力を許さない女の会、戸籍のない子にパスポートを!LEMON+C、Gender-Related Education & Action Team, Japan、台東れれれのれ(れずびあんのれずびあんによるれずびあんのためのれじすたんす)、A-menace collective、ユーゴネット、RAGE&FOOTBALL COLLECTIVE、常陸24条の会、全日本年金者組合・国立支部、国立に緑と文化を創る会、これからも市民がつくる国立の会、こもネットの会、住基ネットいらない国立市民の会、ふぇみん婦人民主クラブ、ウィメンズ アクト21、「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会、おんな組いのち、まつしま病院、風をおこす女の会・松山、ラブピースクラブ、女性と貧困ネットワーク、特定非営利活動法人女性ヘルプネットワーク、働く女性の全国センター(ACW2)
以上52団体
個人 844名

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