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駐日米兵犯罪裁判権放棄の密約示す文書、効力は今日まで

2008/10/24

日本に駐留する米兵の犯罪について、1953年に日本政府が「重要事件以外の裁判権を行使しない」と米国側に表明したことを示す議事録の存在が確認された。日米関係研究者の新原昭治氏が米国立公文書館に情報公開請求して入手した。
 日米合同委員会の分科委員会で作成された1953年10月28日付の議事録の中に、「日本にとって実質的に重要と考えられる事件を除き、米兵らに対する一次裁判権を行使しない」という日本側代表の法務省担当者の発言が記載されている。
 1960年に締結された日米地位協定では、公務中および専ら米兵や家族、米国の財産が被害を受けた犯罪以外、日本が一次裁判権を持つと規定しているが、資料を入手した新原氏は「改正協定は最初から骨抜きされていたことになる」と批判している。
 さらに琉球新報は、在日米軍法務部の担当者が2001年の論文に「合意は忠実に実行されている」と明らかにしていたことを報じた。同担当者は、現在も同じ部署で米軍犯罪の法務関係を担当しており、密約が50年以上にわたり受け継がれていることを裏付けている。当時の密約を認め、現在も有効とする米軍見解が明らかになるのは初めて。
 この論文は、01年にオックスフォード大学出版が発行した「駐留軍関係法に関するハンドブック」に収められており、在日米軍法務部のデール・ソネンバーグ国際法主席担当者(現次長)らが「特別な重要性がない限り、日本が裁判権を放棄することに非公式に合意した。日本はこの合意を忠実に実行している」と指摘し、現在も密約が有効だとしている。
(報道)
裁判権放棄の「密約文」発見=米兵犯罪で日本側-1953年文書、米公文書館公開(時事) 米兵事件 日本は裁判権放棄継続(琉球新報)

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