女性裁判員忌避か 性犯罪審理で男性裁判員が6割超
2009/12/14裁判員裁判のうち、性犯罪事件では裁判員に男性が占める割合が64%と、他の事件に比べて10%も高いことが、共同通信の集計でわかった。被害者と同性の裁判員は加害者に厳しいとみた弁護人が、選任過程で女性候補者を不選任請求(忌避)した可能性がある。
共同通信の集計によると、12月11日までに審理された裁判員裁判は計112件で、うち性犯罪は20件だった。性犯罪のうちわけは、強制わいせつ致傷罪10件、強かん致傷罪5件、強盗強かん罪2件、集団強かん致傷罪2件、準強かん致傷罪1件(裁判員対象罪名だけ、2罪の場合は法定刑の重い方で集計)。判決で実刑が下されたのは被告12人で、11人には執行猶予付きの判決が言い渡された。
性犯罪事件の裁判員は、男性が計77人、女性は計43人で、男性が64%を占めた。性犯罪事件以外の裁判では男性比率は54%で、10%も低い。20件のうち、女性の裁判員が男性より多かったのは2件のみで、男性4人女性2人が6件、男性5人女性1人が5件、奈良地裁の集団強かん致傷では裁判員6人が全員男性だった。
裁判員候補はくじ引きで選ばれるが、検察と弁護人は補充裁判員の数に応じて4~7人まで不選任請求することが認められている。裁判員が全員男性だった奈良地裁の集団強かん致傷裁判の場合、被告4人の弁護人は18人を不選任請求していた。「ちかん被害に遭ったことのある候補者を除外した」という。
性犯罪を裁判員裁判で扱うことについては、性暴力に関する社会的偏見が反映されやすいことから懸念が強い。このような理由で裁判員の構成が男性に偏れば、判決にも影響をあたえることが懸念される。
【報道】性犯罪裁判は女性候補忌避? 他事件と10ポイント差(中国新聞)