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裁判権放棄密約問題:ダブルスタンダード認める政府答弁

2009/06/25

米軍犯罪の多くについて第一次裁判権を放棄するよう指示した1953年の法務省通達について、政府は、「強かん事件は日本側の裁判よりも米軍側にゆだねた方がきちんと処分される場合もある」と述べ、性暴力事件の審理における日米間のダブルスタンダードを認める答弁を行った。

日米地位協定では、駐留米兵が日本で犯した犯罪のうち、公務内で起きたものは米軍側、公務外で起きたものは日本側に第一次裁判権があるとされているが、1953年に法務省が「実質的に重要であると認める事件」以外は裁判権を放棄するよう、関係機関に指示したことが明らかになっている。

法務省の甲斐行夫審議官は、6月10日の衆議院外務委員会で、赤嶺政賢氏(共産党)の質問に答え、この通知は現在も有効であると認めた。また、同通知において、「実質的に重要でない」案件の例として「日本国の当局において処罰するよりも、合衆国の軍当局においてその者を処罰することの方がより一層刑罰の目的を達し得ると認められる事情がある」場合が挙げられていることについて、「例えば強姦事件については、和姦でなかったことの立証がなかなか難しいというような場合もあり得るわけでございまして、そういった場合に不起訴とせざるを得ないということも考えられるところでございます」「同じ案件でも、証拠関係によっては、日本ではなかなかうまく処分できないというような場合もあり得るわけです。そうではなくて、米軍側の規律によればきちんと処分がなされるという場合も考えられるのではないかというふうに思っております」と述べ、性暴力事件は日本の法廷で裁くよりも米軍にゆだねた方が適切に裁かれる場合があると考えていることを明らかにした。

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