婚外子相続差別に違憲判決:大阪高裁
2011/10/05大阪高裁が8月24日付の遺産相続に関する判決で、婚外子の相続分を半分とする民法の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、同等の相続を認める決定を出していたことが明らかになりました。
このケースは、2008年に死亡した男性の遺産相続について、大阪家裁が民法の規定を合憲と判断して婚外子の相続分を婚内子の半分とする決定を行ったため、婚外子側が不服として抗告していたものです。
赤西裁判長は、親子関係に対する国民の意識は多様化していると指摘、「子の法律上の取り扱いを嫡出子か婚外子かによって区別することはいわれない差別を助長しかねない」として、民法の規定は違憲であると判断、家裁決定を変更して、婚外子に同等の相続を認める判決を下しました。妻や婚内子側は最高裁に特別抗告せず、決定は確定しています。
婚外子の相続を半分とする民法の規定については、1995年に最高裁が合憲との判断を下したものの、15人の裁判官中5人が違憲であるとする反対意見を述べており、国連人権機関も日本政府に対し、繰り返し見直しを勧告しています。法制審議会は1996年に婚外子差別撤廃を含む民法改正を答申しましたが、選択的夫婦別姓への頑迷な反対論のために法改正は実現しませんでした。民主党は民法改正を掲げていましたが、根強い反対論のために改正法案の提出を見送りました。一刻も早い差別是正が求められています。
報道
●婚外子の相続差別は違憲 大阪高裁決定「家族観が変化」(朝日)
●婚外子:差別は「違憲」…同等の相続認める 大阪高裁(毎日)