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メキシコ:「女性殺し」がふたたび激化

2012/06/29

アメリカとの国境が近いメキシコの街、シウダード・フアレスで、若い女性たちが誘拐され殺害される「女性殺し(femicide)」が、ふたたび激化する様相を見せています。

シウダード・フアレスでは1990年代、工場などではたらく若く貧しい女性たちが誘拐され、遺体で発見される事件が相次ぎました。メキシコでは、カルデロン大統領が麻薬マフィアとの戦争を宣言して以来、男女を問わず、市民を巻き込む暴力が激化していますが、シウダード・フアレスにおける一連の殺人事件の場合、あきらかに同じタイプの女性たちが狙われており、貧しい女性たちの運命に対する警察の無関心から、捜査や処罰も進まないなど、ジェンダーの要素ぬきに理解できない暴力だと指摘されています。一連の事件は、「女性殺し(femicide)」とよばれ、犠牲者は700人以上に上ると言われています。

「女性殺し」に対する警察の無策に対して国際的な圧力が高まった結果、一時は落ち着いたかに見えましたが、近年、さらに大規模な「女性殺し」が起きつつあるのではないかと指摘されています。行方不明になり遺体で発見される若い女性たちの数は、2009年以降、ふたたび上昇しつつあり、2010年の犠牲者は304人、今年に入ってからも、すでに60人の若い女性が犠牲になっているとのこと。しかし国内外の関心は、かつてと比べると高まっておらず、現地の活動家は、いっそうの関心をよびかけています。

●報道NY Times (6/23) Wave of Violence Swallows More Women in Juarez

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