OECD:日本の男女間格差は工業国で最悪
2012/12/20 経済協力開発機構(OECD)が12月17日に刊行した世界の男女間格差に関するレポートによれば、日本はOECD主要加盟国の中で、韓国に次いで男女の賃金格差がもっとも大きいことが明らかになりました。特に子どもがいる女性では男性との賃金格差は加盟国中で最大で、働く母親を冷遇する日本の労働政策の問題点が浮かびあがる結果となりました。
OECDは、一般的に、教育におけるジェンダー平等は女性の就労を促進し、経済成長にプラスの効果を及ぼすことになると指摘しています。日本の場合、大学進学率では女性が男性を上回っていますが、女性は短大や保健・教育などの分野に偏っており、労働市場参加率でも、男性84%に対して女性は63%にとどまっています。
さらに男女間賃金格差をみると、OECDの平均が16%であるのに対し、日本では29%と、著しい不平等があります。年代別にみると、40歳以上では賃金格差は40%にも上っており、若い世代でも約15%の格差が見られると指摘しています。
さらに共同通信の報道によれば、子どもがいる女性と男性の格差を見ると、データのある30カ国の平均が22%であるのに対し日本は61%と、加盟国中で最悪であることがわかりました。
また、上場企業の役員に占める女性割合は5%にとどまり、女性の起業家も著しく少ないと指摘されています。
こうした日本における男女間格差の要因として、OECDは、ワークライフバランスが実現されていないために、多くの女性が出産を機に退職を迫られ、常勤として復職することが困難であること、また、税制における配偶者控除によって、既婚女性が夫の被扶養者として労働所得を一定範囲内に制限しようとし、仕事へのモチベーションが削がれてしまうという問題を指摘しています。
OECDは、教育及び雇用においてジェンダー平等を実現することは経済成長の鍵となると強調し、加盟国政府に対し、ジェンダー統計の質・量の改善、ジェンダー予算の導入、ジェンダー差別の禁止、男性の育休取得の促進、女性の就労を阻害する税制の改正などを勧告しています。
民主党政権はマニフェストに掲げていた配偶者控除の廃止を見送りましたが、この問題を是正しない限り、日本の女性の経済的活動は阻害され続けることになるでしょう。
●OECDジェンダー格差レポートのページ
●日本版プレスリリース
【報道】
●共同通信(12/18)日本は働く母親冷遇 OECD報告
●日経ウーマンオンライン(12/18)日本は「働く母」に優しくない、OECD