最高裁:婚外子の相続差別規定に違憲判断
2013/09/05最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は9月4日、婚外子の遺産相続分を婚内子の半分とする民法の規定は法の下の平等に反するとして、裁判官14人の全員一致により違憲判断を下しました。
審理されたのは、2001年に死亡した男性の遺産相続をめぐる東京都と和歌山県の2件で、いずれも1、2審では規定を合憲とする判断がなされたため、婚外子側が特別抗告していたものです。大法廷は1995年に同規定を合憲とする判決を出していましたが、これを見直したものです。一方で、過去のケースについては遡って適用されないとしました。
婚外子に対する法的差別については、いくつもの判決や国連人権機関の勧告でも、不当な差別にあたるとの指摘がなされてきました。1996年には法制審議会が民法改正要綱をまとめていたにもかかわらず、家族の多様性を認めようとしない議員らの反対によって、今日まで民法改正が実現していません。これ以上差別状態を長引かせないよう、速やかな民法改正のために国会に最大限の努力を求めたいと思います。
と同時に、戸籍法に残る婚外子差別記載や寡婦控除における差別的取扱いなど、婚外子や非婚の母親に対するあらゆる差別を撤廃していく必要があります。
【報道】
●毎日新聞(9/4)<婚外子>民法の相続差別は「違憲」…最高裁大法廷
●中国新聞(9/5)婚外子相続差別は違憲 最高裁「家族観変わった」
【参考資料】
●最高裁判決の全文
●mネット・民法改正情報ネットワークの声明
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