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鹿児島県:強制起訴の性犯罪に不当判決

2014/04/03

 ゴルフの教え子の女性(当時18歳)への準強かん罪に問われ、性犯罪で初めて強制起訴されたゴルフ練習場経営の男性(63)に対する判決が3月27日、鹿児島地裁で行われ、安永武央裁判長は「性的交渉が真意に基づかなかったものとしても、拒絶できなかったとまでは言えない」、「女性が人間関係を壊さないため、主体的に抵抗しなかった可能性も排除できない」として懲役4年の求刑に対し、無罪の判決を下しました。
 男性は06年12月、ゴルフの指導を口実に女性を鹿児島市内のホテルに連れ込み、抵抗できない状態に陥ったことを認識しながら性的暴行を加えたとして起訴されました。鹿児島県警が11年4月、鹿児島地検に書類送検すると、鹿児島地検は「拒否の意思表示をしていない」と容疑不十分で不起訴処分としましたが、鹿児島検察審査会による2度の起訴相当との議決を受け、強制起訴に至っています。これまでの公判で、検察官役の指定弁護士は、師弟関係にあり女性が精神的に抵抗できなかったこと、また男性が長年の指導経験からその心理を把握していたと主張したのに対し、被告弁護側は「抵抗せず自分を受け入れてくれたと思った」と反論しました。
 この判決に対し、特定非営利活動法人スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク、性暴力禁止法をつくろうネットワークが、①スポーツ界における指導者から選手へのセクハラ強姦の本質を全く理解していないこと、②準強姦罪の成立要件をあまりにも狭くとらえていること、③性暴力被害者の心理状態が正しく理解されていないこと、④支配的な力関係を利用した性犯罪加害者を野放しにしてしまうこと、⑤被害者の回復と社会への信頼の機会を奪ってしまうこと等の批判を挙げ、鹿児島性暴力裁判不当判決に控訴要請文を送るよう呼びかけを行っています。
 今回の無罪判決は、抵抗できない状態にある女性について「拒絶できる状態にありながら主体的に抵抗しなかった」と女性や女性への暴力に対する偏見に基づいた判断を下しています。司法制度におけるジェンダー平等視点の欠如から、女性への暴力が暴力とみなされず、被害者へ責任が転嫁されてしまう状況が継続してきました。性暴力に関わる法律と司法制度は、緊急に包括的な見直しが求められます。

●アジア女性資料センターは、性暴力被害にあった女性の人権が保障されるよう、司法制度見直しを求めるキャンペーンを行ってきました。こちらから確認できます。

【報道】
日経(3/27)性犯罪では初の強制起訴に無罪、鹿児島地裁判決 毎日(3/27)準強姦罪:性犯罪で初の強制起訴事件で無罪判決 鹿児島「女性、拒絶できなかったとまでは言えない」
●特定非営利活動法人スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク、性暴力禁止法をつくろうネットワークが控訴要請文送付を呼びかけています。いかに文例などを記載します。

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鹿児島性暴力裁判不当判決に控訴要請文を送りましょう!

※はがき、メール、FAXなどで以下の送り先に送って下さい。
できれば団体・個人でも送った方がより多くの要請が届くと思います。
控訴期限が4月9日ですので、できるだけ早く送ってください。

※文例

指定弁護士 大脇通孝 様

平成26年3月27日に鹿児島地裁で出された性犯罪で初めての強制起訴事件について
無罪判決を確定させないように控訴を要請します。

(以下に理由や感想など・・・)

お名前・団体名など

※送り先
〒892-0821 鹿児島市名山町1番3号鹿児島ビル3階 大脇総合法律事務所
Fax :099-226-7806
E-mail owaki-law@vanilla.ocn.ne.jp
特定非営利活動法人スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク
性暴力禁止法をつくろうネットワーク

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