「慰安婦」記事はねつ造ではない―元朝日記者・植村隆さんが損害賠償請求
2015/01/13 2014年1月9日、元朝日新聞記者で北星学園大学非常勤講師の植村隆さんが、「慰安婦」問題についての自身の記事を「ねつ造」とした文藝春秋と東京基督教大学教授の西岡力氏に対し、名誉毀損により1,650万円の損害賠償を求める裁判を東京地裁に提訴した。全国から170名の弁護士が本裁判を支援している。
植村さんは、91年に元「慰安婦」制度被害者として初めて名乗り出た金学順さんへの取材記事を朝日新聞に掲載したが、西岡氏は雑誌「週刊文春」2014年2月6日号で「捏造記事と言っても過言ではない」とコメント。植村さんは2014年4月より松蔭女子大学に就任予定だったが、週刊文春が同号で大学名を掲載したことで嫌がらせのメールや電話が殺到し、大学側が雇用を取り下げた。その後就任した北星学園大学に対しても同様のメールや電話が殺到し、昨年5月と7月には大学の爆破を予告する脅迫状が届いたが、12月17日大学側は雇用継続を決定した。攻撃は植村さんの家族まで及び、インターネット上には、娘や息子と同じ大学の同姓の学生の顔写真が掲載され誹謗中傷を受けている。
1月9日の提訴報告集会の参加者は250名を超えた。植村さんは「私はねつ造記者ではない。不当なバッシングには屈しない」とコメントし、バッシングを煽動した週刊文春と西岡氏の責任を問う意向を明らかにした。また、北海道新聞の長谷川綾記者は、一連の問題をマスメディアが報じてこなかったことを「民主主義の危機」と批判した。国会議員やメディア関係者、「慰安婦」問題に取り組む市民活動家らによる激励のリレートークでは、この問題について「ジャーナリズムの危機」「『慰安婦』制度被害者の尊厳を守るための戦い」などの意見が寄せられた。
【報道】
●北海道新聞(1/9)元朝日記者、文春などを損賠提訴 「記事捏造」名誉傷つけられた
●朝日新聞(1/10)元朝日記者、文春などを提訴 「慰安婦報道で名誉毀損」
【参考】
●「私は捏造記者ではない」慰安婦報道の植村隆・元朝日新聞記者の会見スピーチ(全文)(全文)
●レイバーネット「植村隆さん提訴「私は捏造記者ではない」~ 歴史修正主義者への反撃はじまる」