トリニダード・ドバゴ:日本人女性殺害事件に関する発言で市長辞任
2016/02/26 2016年2月10日早朝、南米カリブ海沿岸の島国トリニダード・ドバコの首都ポートオブスペインで、日本人音楽家・長木谷麻美さんが殺害され、遺体で発見されたと、現地紙、トリニダード・ガーディアンが報じていた。
この事件に関し市長が、「カーニバルでの女性の振る舞いは時に目に余るものがあった。男性のエスコートがあることはもちろんだが、女性は暴行を受けないように自分の身を守る責任がある。注意を怠らないようにしながらカーニバルを楽しもう」という趣旨の発言。これに反発した現地のフェミニスト団体「Womantra」が、市長の発言は差別にあたり、受け入れられないとして、謝罪と辞任を要求した。
12日朝には、団体の呼びかけに呼応した市民100人以上が市庁舎前に集まり、市長の辞任を求めた。また、8000筆以上の署名も集められた。
団体のスポークスを務めるアティヤ・スプリンガーさんは、今回の事件での身体的暴力のみならず、市長の発言が女性への言葉による暴力であると述べる。さらに、「この国には女性差別感情はまだ根強くある、公人にはジェンダー教育が必要。私たち女性は今、声を挙げるべき」と訴えた。
Womantraには、クリスティン・ムーア元司法大臣や、ファッションデザイナーのアーニャ・エイヤング=チーさんらも参加している
市長の発言に賛同し、擁護する支持者や団体もあったものの、市長は週末に辞任の意向を表明し、6日後、正式に辞任の発表を行った。
【報道】
●The Huffington Post (2/15)「女性は自分の身を守る責任がある」発言で市長辞任。トリニダード・トバゴの日本人殺害事件
●The guardian (2/12) Protesters call for Tim Kee’s dismissal