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トルコ:トランス女性活動家焼殺事件

2016/09/15

 2016年8月、トルコ・イスタンブールの高級住宅地で、バラバラにされた焼死体が発見された。後日この遺体は、LGBT活動家としてもよく知られているトランスジェンダー女性のハンディ・カデール(Hande Kader)さん(23歳)であることが判明した。
 2015年に開催されたイスタンブールのプライドパレードで、警察がゴム弾や放水銃、催涙ガスなどを使用して参加者を鎮圧しようとするなか、カデールさんは行進の先頭に立ちパレードをリードした。この勇気ある行動が話題になり、カデールさんはトルコで有名なLGBT活動家となった。
 また、カデールさんはセックスワーカーとしても知られている。トルコのトランスジェンダーの人々はセックスワークをしている場合が多い。カデールさんもその1人で、手術の費用や生活費を稼ぐためにセックスワークをしていた。
 ジャーナリストで活動家でもあるトランスジェンダー女性のミチェル・デミシェビッチ(Michelle Demishevich)さんは、この事件に関するメディアの取材に対し「仕事も見つからず、安全な地域にアパートを借りることさえままならない。だから私たちは危険の多い地域に住まわざるを得ない」と話した。
 トルコはトランスジェンダーの人々が被害者となる殺害事件数がヨーロッパのなかで最も多い。カデールさんは以前にもレイプや拷問の被害に遭っていることがわかっている。ミチェルさんは「毎日、今度は仲間の誰が死ぬのかと心配になる。去年参列した葬式の数さえ思い出せない」とも述べた。
 カダールさんの事件は、トランスジェンダーの人びとを取り巻く問題に向き合ってこなかった多くの人びとにも衝撃を与えたという。報道によれば、事件後、各地から数百人もの人びとが、カダールさんを追悼し、トランスジェンダーの人々の人権擁護の法整備を訴えるデモが行われている。デモで掲げられた横断幕の1つには「私たちは毎日、仲間のだれかを失っている」と書かれていた。
 しかし、女性やセクシュアルマイノリティの権利は社会の中心的な話題にはならない。こうした問題は政治や社会の問題として認識されておらず、背景には男性主義的なナショナリズムと政治的緊張がある。
 イスタンブールは、中東の多様なセクシュアルマイノリティの人たちが集う場として知られている。多様性を尊重し、多くの人を歓迎する安全な場をつくりだすことはとても重要だ。

【報道】
●The Guardian (8/23) “The shocking murder of trans activist Hande Kader says much about Turkey today”

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