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韓国:フェミニスト・ゲーマー団体「全国D.Va協会」誕生

2017/06/23

韓国でフェミニスト・ゲーマー(コンピュータゲーム愛好家)の団体「全国D.Va協会」が誕生した。以下、2017年6月8日、韓国の『女性新聞』の公式ホームページに掲載された、キム・ジヨン代表のインタビューを紹介したい。

記事によると、キム代表は1993年生まれで、ゲーマー歴は10年余り。そんな彼女がフェミニスト団体を立ち上げるきっかけになったのは、朴槿恵前大統領の退陣を求めるキャンドルデモだったという。キム代表は冗談半分で「全国ソンハナ協会」と書いた旗を作り、デモに参加することにした。「ソンハナ」とはオンラインFPSゲーム「オーバーウォッチ」に登場する、天才韓国人女性プロゲーマー「D.Va」というキャラクターの名前だ。デモ参加前に、旗を持ってデモに行くことをSNSで発信すると、多くの人々が同じように旗を自作してキャンドルデモに参加したという。興味本位で旗を自作し、その場に参加しただけで終わる人々も多かった。しかし、女性ゲーマーのフェミニスト団体が登場したことを喜ぶ人たちがいたことで、キム代表はその後も「全国D.Va協会」として活動を継続することを決めたという。協会は、韓国においてジェンダー平等の社会を実現させるため、以下のように訴える。

「もし未来の韓国が今と同じ性差別的国家だとしたら、オーバーウォッチの時代設定になっている2060年に、D.Vaのような人が登場することは不可能だろう。男女平等な2060年を作るために今努力しましょう!」

現在、協会のメンバーは10人ほどで、20代の学生が多い。フェミニズムをテーマにした読書会や映画鑑賞会の主催、フェミニズム関連のイベントやデモへの参加だけでなく、オーバーウォッチのゲーム大会も主催する。しかし、活動を行うことは、精神的、肉体的、財政的にも大変だと彼女は吐露する。「楽に金を稼げてうらやましい」「フェミニズムを利用した商売だ」など心無い声や、ゲーム大会用の会場について使用不許可が出るなど、多くの壁にぶつかっているという。そのようななかで、どのようにフェミニズム活動を継続できるだろうか。「フェミニズムに接した後、多くの人が、以前に戻ることはできない、と言う。であるならば、ずっと活動し続けなければならないのに、その方法はまだ話題にあがっていない」と彼女は言う。

そして、彼女はゲームを取り巻く性差別と運動の展望について熱く語る。フェミニズムに触れたことで、以前から感じていたゲームのなかの女性嫌悪と性差別を明確に認識するようになった。スタイル抜群で若い女性キャラクターが主流なのは、社会の性差別的意識が背景にあるからだ。また、ゲーム業界の多数を男性が占め、その結果生み出される男性中心主義的な雰囲気が問題である。だからこそ、韓国社会が変われば、性差別が蔓延したゲーム業界も変わることができると彼女は訴える。

記事の最後を締めくくる彼女の言葉は、フェミニズム運動にかかわるすべての人々に力を与えてくれる。

「今、社会は変化していないけれど、私たち自身は変化している。それが一番の大きな収穫だと思う。私たちはどうであれ変化し続け、以前より少しマシになり、フェミニズムを実践する方法について悩みながら、前に進んでいる。こうして一歩ずつ歩んでいけば、いつかは社会も変わるだろう」。

(鈴木南津子/アジア女性資料センター・インターン、和光大学現代人間学部)

【参考】
여성신문(2017/6/8)“‘페미질’,지속가능했으면 좋겠어요”

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