【報告】「女たちの21世紀」No.80「女子刑務所」特集号出版記念イベント:「トークバック―沈黙を破る女たち―」上映会
2015/02/041月31日(土)、「女たちの21世紀」No.80の出版記念イベントとして『トークバック―沈黙を破る女たち―』の上映会とトーク(バック)セッションを、監督の坂上香さんをお招きして行いました。
この映画は、アメリカ・サンフランシスコの女性刑務所で生まれた、女だけのアマチュア劇団「メデア・プロジェクト(The Medea Project: Theater for Incarcerated Women)」の活動を8年間に渡って追ったドキュメンタリーです。「トークバック」とは「口ごたえする」、「言い返す」という意味。作品中には、元受刑者やHIV陽性の女性たちが演劇を通じてそれまでの沈黙を破っていく姿が捉えられています。
上映後のトークバックセッションでは、坂上さんに登場していただき、本作品を制作するまでの経緯や現在の活動をお聞きしました。坂上さんは、現在全国をめぐって上映活動を行っていますが、少年院でも上映を行ったそうです。受刑者との対話の様子等についてもお話を伺いました。
会場からは、この映画を誰が見るべきか(支援者か、保護の対象者か)といった議論がされました。参加者のひとりからは、売春やHIVへの偏見が支援者の間にあると保護対象者にもそれが伝わってしまうため、まずは支援者の偏見をなくさなければならず、そのためにこの映画を支援者がみるべきだとする意見がありました。
映画は、犯罪やHIVに巻き込まれた女性たちの背景にある、女性への暴力や差別などの社会的問題や、難しい状況に置かれた女性たちが声を上げることの困難さを映し出しています。また、メデア・プロジェクトの女性たちが、沈黙を破り自分たちで声を上げることでエンパワーされていく様子もとても印象的です。
「女子刑務所」を特集した「女たちの21世紀」No.80には、オーストラリアで刑務所廃止の運動をする「シスターズ・インサイド」についての坂上さんのインタビューが収録されています。シスターズ・インサイドは貧困、暴力、差別が溢れる社会で女性たちが犯した罪は誰の責任なのかと問いかけます。こちらもぜひお読みください!