【書籍紹介】「イスラームへの回帰—中国のムスリマたち―」
2010/12/24 中東商人が闊歩する中国の都市で、アラビア語通訳として働く回族の女性たちの人生の選択を「中国のイスラーム・フェミニズム」の実践として解き明かした「イスラームを知る」シリーズの1冊。
1章「中国の民族政策とイスラーム政策」、2章「中国のさいはて西北」で、まず中国内の多様性を読者に伝える。3章「女学という選択」では、女性のためのイスラーム宗教学校が、どのように存続してきたかを振り返り、教育内容や運営形態による類型化から、その役割と実態を詳述する。4章「女学の学生、教師の今」では、学生や教員へのインタビューとアンケート結果から、彼女たちの葛藤としたたかさを描く。
著者は、女学の問題点を指摘しつつも、「貧困女性の宗教教育の場であり職業教育の場であり、心に傷をかかえた弱者のコミュニケーションの場であり、人的ネットワークを形成する場であり、女性の連帯意識形成の場となり、女性に困難を乗りこえる力、自身を与える『溜め』を提供する」セーフティーネットではないかという。こんな役割を果たしている教育機関は日本にはあるだろうか、と考えさせられる。(田中雅子)
1章「中国の民族政策とイスラーム政策」、2章「中国のさいはて西北」で、まず中国内の多様性を読者に伝える。3章「女学という選択」では、女性のためのイスラーム宗教学校が、どのように存続してきたかを振り返り、教育内容や運営形態による類型化から、その役割と実態を詳述する。4章「女学の学生、教師の今」では、学生や教員へのインタビューとアンケート結果から、彼女たちの葛藤としたたかさを描く。
著者は、女学の問題点を指摘しつつも、「貧困女性の宗教教育の場であり職業教育の場であり、心に傷をかかえた弱者のコミュニケーションの場であり、人的ネットワークを形成する場であり、女性の連帯意識形成の場となり、女性に困難を乗りこえる力、自身を与える『溜め』を提供する」セーフティーネットではないかという。こんな役割を果たしている教育機関は日本にはあるだろうか、と考えさせられる。(田中雅子)