アドボカシー・キャンペーン

男女平等を否定する改憲案に抗議する共同アピールを発表

2004/07/07

STOP!憲法24条改悪キャンペーン

男女平等を否定する改憲案に抗議し共同アピールを発表

 自民党の憲法改正プロジェクトチームが6月10日に発表した「論点整理(案)」において、「家族や共同体の価値を重視する観点から」、婚姻・家族における両性の平等を定めた憲法24条の「見なおし」を提言したことについて、女性たちが共同アピールを発表しました。ほかならぬ政権党から、男女平等を正面から否定する改憲案が提出されたことに強い危機感をもち、「STOP!憲法24条改悪キャンペーン」を立ち上げ、家族や国家の名のもとに女性の権利を抑圧しようとする流れを変えたいと考えています。

 憲法24条は、婚姻・家族を、平等な個人の自由意思による結合によって維持されるものとし、これに関わる法律は「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚」しなければならないと定めて、家父長支配のもと、女性を無権利状態においていた戦前の民法を根本から書きかえることになりました。

 これに対して、自民党の「見なおし」論の基調となっているのは、「個人の権利、尊厳よりも、家族・共同体・国家への奉仕が優先されるべき」という意識です。議論に出席した議員からは、「夫婦別姓が出てくるような日本になったということは大変情けない」「家族こそが国家の基本」「女性の家庭をよくしようという気持ちが日本の国をこれまでまじめに支えてきた」といった発言も見られます。しかし、家庭において個人としての女性の人権が抑圧されてきたことが、ドメスティックバイオレンスや、避妊・中絶・出産等に関する女性の権利と健康を損なってきました。そして国家もまた、「産めよ増やせよ」という国策のもと、女性の権利と尊厳を抑圧してきたという事実があります。

 おりしも来年は、あらゆる領域で男女平等を推し進めていくことを国際社会の基本的原則として確認した1995年の北京女性会議から10年となります。男女平等、女性の人権の確立へと確実に動いてきた国際社会の流れを無視する時代錯誤の改憲案を阻止するために、「STOP!24条改悪キャンペーン」では、まず、この改憲案を広く女性たち男性たちに知らせ、政治選択の争点のひとつにしていきたいと考えています。

STOP!憲法24条改悪キャンペーン
E-mail: savearticle24@yahoo.co.jp

賛同される団体・個人は、お名前と肩書き(あれば)をsavearticle24@yahoo.co.jpまでお知らせください。

2004年7月7日
DO NOT DROP GENDER EQUALITY FROM THE CONSTITUTION!
STOP!憲法24条改悪キャンペーン
E-mail: savearticle24@yahoo.co.jp

資料:
 自民党憲法調査会憲法改正プロジェクトチームの第9回会合出席議員の発言
(自民党ホームページより)

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 「いまの日本国憲法を見ておりますと、あまりにも個人が優先しすぎで、公というものがないがしろになってきている。個人優先、家族を無視する、そして地域社会とか国家というものを考えないような日本人になってきたことを非常に憂えている。夫婦別姓が出てくるような日本になったということは大変情けないことで、家族が基本、家族を大切にして、家庭と家族を守っていくことが、この国を安泰に導いていくもとなんだということを、しっかりと憲法でも位置づけてもらわなければならない。」(森岡正宏衆議院議員)

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 「憲法とは何かと言えば、やはり愛国心の1番の発露なのではないか。・・・そしてその根底にあるのは何かと言えば、家族だ。1人で人間が個人の権利だけを主張して生きられるはずがない。そういう国がもしあるとすればバラバラになる、崩れるに決まっている。人間の支えとなるもの、根底は家族に決まっているわけで、その家族観をぜひ憲法に書いて頂きたい。民主党と自民党と一体どこが違うんだと言われれば、ひと言で言える。全くの1個人を大事にするか、家族を大事にするかの差だ。生きた人間、血の通った人間、愛がある人間を1番大事にする、日本という国が成り立った伝統と文化のなかで培ってきた、先祖からまた子孫につなげていくそれを大事にする自民党だ。」(西川京子衆議院議員)

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 「よい家族こそ、よい国の礎である。特に、女性の家庭をよくしようというその気持ちが日本の国をこれまでまじめに支えてきたと思う。家庭を大切にするということ。ドイツの憲法には、「婚姻および家族は、国家秩序の特別な保護を受ける」と書いてある。こういう書き方もあるし、「国民はよい家庭をつくり、よい国をつくる義務がある」ということを書くことが可能であれば書いて頂くとか、ぜひ家族を強調して頂きたい。」(熊代昭彦衆議院議員)

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 「親が子どもをあてにならない、親が子どもを信頼できない時代になりつつある。子は親を扶養する義務があるし、親は子どもを正常に育てる義務があるし、夫婦はお互いうまくやっていく義務がある。文言はともかくとして、そういったものをきちんと位置づける必要がある。子は親を扶養する義務があるという観点に立てば、親が死んだら兄弟は財産は平等だという話は出てこないのではないか。5人兄弟で、長男は親のことをみて、嫁さんをもらったら嫁さんは自分の親のごとく10年も20年も世話して、親が死んだら、30年も40年も前に嫁に行っていた娘が財産をよこせと。子は親を扶養するという範囲内において財産権は平等ではないという認定を何らかの形でする必要があるのではないか。」(桜田義孝衆議院議員)

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 「個人・家族・コミュニティ・国という階層のなかで、日本人は国も捉えているのではないか。したがって、急に国に奉仕しろといわれても飛びすぎて、まず家族・コミュニティに奉仕をする延長線上のなかに国に対する奉仕も位置づけたほうがなじみやすいのではないか。そういう意味で家族・個人の関係をもう1回構築をしていくことが、まさに大変重要なことではないか。」(加藤勝信衆議院議員)

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