「つくる会」歴史・公民教科書(扶桑社版)採択をしないように 求めます
2005/07/28私たちは、ジェンダー平等社会をめざし活動する市民団体12団体のネットワークです。これまでジェンダー平等教育をすすめるためにさまざまな活動をしてきました。
教科書採択に関し、「つくる会」歴史・公民教科書を採択しないよう要望を申し上げます。
「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書は、改善されたと言われますが、歴史を歪曲し、日本の侵略戦争を正当化・美化し、日本の戦争によるアジアの人びとの被害についても、また、原爆の被害者数も書いていないことに現れているように日本人の被害もほとんど書いていません。戦争の悲惨な面が書かれていないかわりに、戦争を賛美しています。韓国や中国など近隣諸国を蔑視し、韓国に
対する植民地支配を正当化しています。民衆の視点はなく、国家と天皇を中心とした歴史といえます。歴史学研究者からは、検定合格後も多くの誤りや不適切な記述があり、教科書としての完成度が低いことが指摘されています。また日本軍「慰安婦」とされた女性たちの被害にについても記述がなく、そのほかの女性たちもほとんど登場しません。
また「つくる会」公民教科書は、大日本帝国憲法を賞賛し、日本国憲法の内容を歪め、「国民一人ひとりには主権はない」と強調し、憲法改悪を推進する、改悪を先取りした内容です。「平和主義」の項目では自衛隊を無条件で高く評価し、戦争を肯定する考えを押しつけようとしています。権利よりも義務を強調し、憲法9条と対立する「国防の義務」を強調しています。男女平等や男女共同参画社
会を敵視し、「性差は個性である」と、男女の役割を固定化し女性の社会進出を問題視する内容となっています。
私たちは、国のために命を投げ出す強い男と、そうした男に守ってもらい家族の世話をする女性という男女の役割を強調し、日本の戦争体制づくりをすすめるような「つくる会」の教科書は、子どもたちにはまったく不適切だと考えます。
もし、貴教育委員会が、あえてこの教科書を採択するようなことがあれば、子どもたちと日本の将来に重大な問題を引き起こすことになります。日本国内はもちろん、アジア近隣諸国からも大きな批判がわきあがることは確実です。
貴教育委員会が賢明な判断をされることを心から希望します。
2005年7月28日
ジェンダー平等社会をめざすネットワーク
・アジア女性資料センター・家庭科教育研究者連盟・教育基本法「改正」反対市民連絡会・国立の教育を守る市民連絡会・子どもと教科書全国ネット21・子どもと女性の人権を考える東京の会・I女性会議東京都本部・人間と性教育研究協議会(性教協)・練馬区男女平等教育を推進する会・ふぇみん婦人民主クラブ・八王子手をつなぐ女性の会・世田谷ジェンダーフリーを考える会・「男女平等をすすめる教育」全国ネットワーク