朝鮮学校に対する「高校無償化」の即時適用要請
2010/08/27内閣総理大臣 管直人 様
文部科学大臣 川端達夫 様
朝鮮学校に対する「高校無償化」の即時適用を求めます
今春から始まった「高校無償化」は、経済格差が拡大している中、すべての学ぶ意思がある者に対して教育の機会を保障するうえで、とても大切な施策です。しかし、全国で10校ある朝鮮高校で学ぶ約1800人の子どもたちだけが、その適用から現在に至るまで排除されています。教育を受ける権利はすべての子どもたちに保障されるべきであり、朝鮮学校だけを排除することは、政府による差別・人権侵害にほかなりません。
マイノリティが民族の文化や言語を継承し使用することは、国連人権規約でも保障されている基本的権利です。しかし日本政府は、日本の植民地支配により民族の言葉を奪われた在日コリアンが主体的な民族教育をおこなう権利を否定し、朝鮮学校に対する公的助成を一切行っておらず、生徒に対する嫌がらせに対しても、断固とした措置をとっていません。これらの差別については、国連の委員会などから、繰り返し是正勧告が出されています。
今年は朝鮮強制併合から100年という節目の年です。植民地支配の責任を重く受け止め、差別是正に向けて努力を行うべき年に、高校無償化からの適用除外によって、政府がさらに差別を重ねることは許されません。朝鮮高校で日本の高校課程に準拠した教育課程が実施されていることは、公開されているカリキュラムからも明らかであるにもかからず、教育課程の内容を疑問視したり、日本人拉致問題と関連付けるような発言に対し、政府は断固とした姿勢で反論すべきです。
日本政府は、朝鮮学校に対する差別的な処遇を直ちに改め、日本に暮らすすべての子どもたちの人権を保障することを約束し、直ちに高校無償化を適用するよう強く求めます。
2010年8月27日
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