沖縄における米兵性暴力事件への抗議文
2012/10/17内閣総理大臣 野田佳彦 様
2012年10月17日
10月16日、沖縄で米兵2名が女性に対する集団強姦致傷容疑で逮捕されました。怒りで言葉もないとはこのことです。ごく最近の事件をふりかえるだけでも、2008年2月には14歳の少女と、フィリピン人女性が米兵の性暴力の被害に遭い、今年8月には海兵隊伍長が強制わいせつ致傷事件を起こしたばかりです。いったい何度、抗議をくりかえせばいいのでしょうか。
「再犯防止に努める」という米軍および日本政府の口約束にもかかわらず、性暴力事件が何度も繰り返されるのは、最近のオスプレイ配備強行に端的にあらわれているように、日本政府がアメリカとの軍事協力関係を維持するために、地域の人々の声を無視して危険をおしつけて恥じないからです。これほど非民主的なやり方が堂々とまかり通る背景に、沖縄に対する差別、植民地主義が存在している事実を、私たちは今こそ直視しなければなりません。
この沖縄に対する日米両政府の軍事支配は、女性に対する暴力を容認する体制でもあります。2008年に起きた2件の性暴力事件をはじめ、米兵による性暴力事件の多くは日本の法廷で裁かれず、加害米兵は処罰をまぬがれてきました。日米地位協定で日本の司法権が制限されているだけでなく、裁判権行使が可能な場合でも放棄するとの日米政府の密約はいまだに有効とされています。被害者への補償も、ほとんど行われていません。性暴力を容認する社会的風潮、女性に差別的な法制度は、沖縄の女性や子どもたちに対する性暴力被害を見えなくさせ、米軍基地をおしつける政策をささえてきたのです。この米軍基地維持=性暴力容認体制を実にあからさまに表現したのが、「犯す前に犯すと言いますか」という田中聡前沖縄防衛局長の発言でした。
私たちはこれ以上、性暴力と人権侵害の上になりたつ沖縄への米軍基地押しつけを容認できません。今回の事件の厳正なる調査と加害者処罰、被害者への謝罪と補償を求めるとともに、オスプレイ配備強行の撤回、日米地位協定の見直し、米軍基地の削減・撤廃に向けた行動を求めます。
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