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偽装結婚の比女性に労働強要 職安法規定で初摘発

2007/11/04

偽装結婚の比女性に労働強要 職安法規定で初摘発
2007年11月02日08時31分
http://www.asahi.com/national/update/1102/TKY200711010394.html

日本人と偽装結婚させられたフィリピン人女性を1日500円の「食事代」などで無理やり働かせたとして、警視庁は1日までに、飲食店経営者ら4人を職業安定法違反容疑で逮捕した。ブローカーによってあっせんされた女性を店側が支配下において働かせたことが、職安法が禁じる「供給された労働者を指揮命令下で労働させる」行為にあたると判断した。

 同庁などによると、外国人女性を雇う店側にこの規定を適用したのは全国初。従来は入管法の不法就労助長罪などを適用してきたが、日本人の「配偶者」は不法滞在・残留と扱えないため店側摘発の壁になってきた。しかし、今回のように職安法を適用すれば、偽装結婚させた女性らを使う経営者らの摘発の可能性が広がることになる。

 逮捕したのは、それぞれ都内でフィリピンパブを経営する杉並区荻窪2丁目、鈴木久次(48)、足立区中川4丁目、岡田進(35)の両容疑者と前の経営者ら。いずれも容疑を認めているという。

 また、偽装結婚に関与したとしてブローカーの同区中川2丁目、山田三郎容疑者(59)や、虚偽の婚姻届を出した2組の男女ら計8人も電磁的公正証書原本不実記録容疑などで逮捕した。

 調べでは、鈴木容疑者らは今年1~6月、日本人の男と偽装結婚させたフィリピン人女性2人を、杉並区と足立区のフィリピンパブで違法に働かせた疑い。山田容疑者が女性を店側にあっせんしたとされ、「計18人仲介した」と供述しているという。

 フィリピン人女性は来日後、店舗と同じビルや近くのマンションに住まわされていた。「給料は帰国前に渡す」と説明され、1日500円の「食事代」と米が支給されるだけ。生活費は「客に飲み物を注文させてチップを稼げ」と指示され、月約4万円で暮らしていたという。

 山田容疑者らは、日本で働きたい女性をフィリピンで面接し、日本から連れていった男と現地で結婚式を挙げさせていた。式に裁判官が立ち会うことで役所から「結婚証明書」が発行され、女性の日本名の査証を入手させていた。

 山田容疑者は、女性1人当たり2年間で840万円の契約料を店から受け取り、挙式や渡航の費用を差し引いた約260万円の利益を得ていたとみられている。

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