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スービック事件・被害者がレイプ申し立て撤回、アメリカへ

2009/03/22

 フィリピンで初めて米兵によるレイプ被害を訴え出て、2006年12月に画期的な有罪判決をかちとった「ニコール」さんが、3月17日、突然弁護士を解任し、実際にレイプ被害を受けたかどうか定かでないとして、自身の申し立てを撤回する宣誓書を出したことが明らかになりました。ニコールさんは、加害者の米兵から2000ドルの補償金を受け取った後、アメリカ人男性と結婚するためとして、アメリカに移住したということです。
 有罪判決を受けた加害米兵の身柄が、VFA(訪問米軍地位協定)を理由に米大使館におかれていることについて、フィリピン最高裁判所が違法判断をくだし、VFAそのものの撤廃を要求する声が、市民団体や政治家たちの間で高まっているときでした。

ニコールさんは、メディアに発表された宣誓書において、
「実際には当夜、何が起きたのかよく覚えていないが、酒に酔いすぎてスミスに親しくふるまいすぎたと思う」「実際の当日の経過が、法廷が判断したようだったかということについて、疑問をもたざるを得ない」「ずっと良心のとがめを感じていた。世間の怒りを買う危険を冒しても、このまま何もしないよりまし」等と述べています。

ニコールさんによる被害申し立ての撤回は、裁判支援者や、VFAに反対する人々にも大きな衝撃をあたえており、マスコミではニコールさん叩きも激しさを増しているようです。
しかしニコールさんを支援してきた女性団体「ガブリエラ」は、これまでにも圧力のなかでレイプ被害をとりさげざるを得ない女性たちを見てきたと述べて、ニコールさんによる申し立て撤回は、VFAを守ろうとするアメリカ・フィリピン両政府を利するものであり、実際、フィリピン政府はずっと犯罪者の側に立ってきたと指摘。
フィリピンの裁判所が、提出された証拠をもとにレイプ犯罪の事実をみとめ、画期的な判決をくだしたことの意義は、この事態によっても変わらない、と強調しています。

PHILIPPINES/US: Women’s Groups Back Recanting Rape Victim
By Stella Gonzales
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=46188

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