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朝鮮学校差別を許さない!「高校無償化」からの朝鮮学校排除に対する抗議声明

2011/02/10

アジア女性資料センターも参加している「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」は、2月9日、朝鮮学校による審査手続き停止の異議申し立てに対する政府回答に対して、以下の抗議声明を出しました。
2月26日には「無償化」即時適用をもとめる大集会を開催します。(詳細はこちら)多くの団体、個人の参加を呼びかけます。

朝鮮学校差別を許さない!「高校無償化」からの朝鮮学校排除に対する抗議声明
 2011年2月4日、文部科学省は、朝鮮高級学校への「高校無償化」適用手続きを「凍結」している理由について、「平成22年11月23日の北朝鮮による砲撃が、我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり、政府を挙げて情報収集に努めるとともに、不測の事態に備え、万全の体勢を整えていく必要があることに鑑み、当該指定手続を一旦停止しているものです。」と
、学校側に通知しました。法に基づく異議申し立てに対し、なんら合理的な説明になっていません。朝鮮半島における砲撃戦と朝鮮高級学校に「高校無償化」を適用するかどうかは、何の関係もないことです。まさか「万全の体勢」には、朝鮮学校を弾圧することも含まれるのでしょうか。朝鮮学校を差別し、子どもの人権を侵害し、「法の下の平等」を踏みにじるこのような措置は、断じて許される
ものではありません。
しかも上記の通知は、これまで政府・文科省が示してきた見解とも明らかに矛盾しています。文部科学省が設置した「高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議」の報告書には、「高校無償化」を適用するかどうかは、「外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきものであるということが法案審議の過程で明らかにされた政府の統一見解である」と明記されています。この報告書は、民主党においても了承されたものです。また、2010年11月24日付けの「文部科学大臣談話」でも同様の趣旨が明言され、すでに報告書の内容を具体化させた規程も、文科省によって定められています。そもそも、「高校無償化」制度は、「全ての意志ある後期中等教育段階にある生徒の学びを保障し、家庭の状況にかかわらず、安心して勉学に打ち込める社会をつくるため」(「文部科学大臣談話」より)のものであったはずです。政府が法律の趣旨と適正な手続きを捻じ曲げるならば、もはやそれは民主主義ではありません。
 一方で、2010年11月24日付けの「文部科学大臣談話」には大きな問題点がありました。憶測と仮定に基づいて、まるで朝鮮学校が「反日教育をしている」と国が認定しているかのような内容を含んでいました。今回の通知は、さらに進んで、朝鮮学校を「敵」として扱おうとするものです。これでは、国が朝鮮学校への差別と憎悪を煽り立てているも同然です。
そもそも制度発足の当初から、朝鮮学校にも「高校無償化」を適用すべきでした。そして、植民地支配の時代から敗戦後にも継続してきた、日本政府による朝鮮民族教育への弾圧の歴史を断ち切るための、第一歩とすべきでした。私たちは、朝鮮学校への差別を決して許しません。今回の通知に強く抗議するとともに、即時に、「高校無償化」を朝鮮高級学校に適用するよう日本政府に要求します。

2011年2月9日
「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会

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