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パキスタン:集団レイプ事件で最高裁が5人に無罪

2011/05/10

村の有力者の指示により集団強かんを受けた女性が、勇気をもって加害者を告発し、国際的な注目を集めてきた裁判で、最高裁は4月21日、加害者のうち5人を無罪とする不当な判決を下しました。

パンジャーブ州ミールワラ村に住んでいたムフタル(ムフタラ)・マイさんは2002年、弟が有力な部族の女性と性的関係をもったことの代償として、村の長老会議の指示により、集団強かんされたうえ、裸で村人の前を歩かされる被害に遭いました。実際には、ムフタルさんの弟も性暴力被害に遭っており、事件をもみ消すために「罪」がでっち上げられたことが、後に明らかにされました。

家族の「罪をあがなう」ために暴力の被害となる女性たちの事件は、ほとんど報告されず、処罰もされてきませんでしたが、脅迫に遭いながらも、勇気をふるって犯罪を告発したムフタルさんは、やがて自分のケースだけでなく、女性の権利のために活動するようになり、性暴力被害に苦しむ女性たちにとって正義のシンボルとなっていました。

当初は14人の男性が起訴され、うち村のリーダー2人と実行に携わった4人が2002年8月の地裁で有罪とされ死刑判決を受けましたが、2005年3月にラホール高裁は判決をくつがえし、6人中5人を無罪、残る1名は終身刑に減刑されていました。

パキスタンの政府機関である女性の地位委員会および民間女性団体は、声明で、最高裁判決に対する深いショックと失望、疑問を表明しました。訴えた女性が立証責任を負わされるなど、刑事裁判のシステムそのものがジェンダー偏見に満ち、不十分であるとして批判しています。

Pakistan Top Court Upholds Acquittals in Notorious Rape Case (NY Times) Civil society groups disappointed at the verdict of Supreme Court in Mukhtaran Mai case

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