最高裁:傷害としてのPTSDに初判断
2012/07/27 東京と青森で4人の女性を監禁し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとして、監禁致傷などの罪に問われていた男性の控訴審で、最高裁第2小法廷は7月25日までに、被告の上告を棄却し、懲役14年の一、二審判決が確定しました。
千葉勝美裁判長ほか4人の裁判官の全員一致により、暴行や脅迫などによる精神的障害も、「刑法上の傷害と解釈するのが相当」とし、外形的な傷がなくても監禁致傷罪が成立するとの判断を、最高裁として初めて示しました。
この事件は、2003年12月~04年12月にかけて、青森県のホテルや東京都内のマンションにおいて、当時17~23歳の4人の女性を監禁したうえ、「逃げたら殺す」「ご主人さまの言うことが聞けないのか」と脅し、身体的暴行のほか、精神的障害を負わせたものです。
被告側は「意思に反する監禁はしていない」と無罪を主張するとともに、PTSDを刑法上の傷害に含めることは、刑法の処罰範囲を不当に拡大させるものと主張していました。
一審の東京地裁では、米国の精神医学会が採用する基準によりPTSDの症状を認めた上で、「脱出困難な心理に陥れ、お仕置きと称した暴力や性的行為を繰り返し、絶望的な恐怖感と甚大な苦痛を与えた」として、懲役14年の判決を下し、二審の東京高裁も「被害者をペットとして扱い、完全な主従関係を構築するゆがんだ目的で計画的に実行した」として、傷害の認定を支持していました。
【報道】中国新聞(7/26)「PTSDも傷害」、最高裁が初判断 4人監禁、懲役14年確定へ