質屋「銀蔵」性暴力事件:東京高裁で逆転勝訴
2012/08/30質屋「銀蔵」に内定が決まりアルバイトとして働いていた女性が、社長と店長から性暴力被害を受けた事件で、8月29日、東京高裁は、女性の請求を棄却した一審の東京地裁判決を変更し、社長と同社に計330万円の支払いを命じました。
女性は、在学中の2007年4月に「銀蔵」から内定を得て、10月から大阪の店舗でアルバイトとして働きはじめましたが、社長と店長から性的関係を強要され、2008年3月に退社に追い込まれました。
今年1月の東京地裁判決は、「合意があった」という加害者の言い分を認めて女性の請求を棄却していました。
東京高裁の福田剛久裁判長は、同社の内定を得ていた女性が、元社長の性行為の要求をやむなく受け入れたと認定し、「同意があったとは認められない」としました。また、会社の責任についても、セクハラに対する意識が希薄であり、防止に向けた方針の周知も不十分だったとして、責任を認定しました。
一審が「暴行・脅迫の有無」を字義通りに狭く解釈して性暴力被害を否定したのに対し、本判決は、被害者が要求に応じさせられた背景にある被害者と加害者の間の権力関係をきちんと考慮して「合意があったとはいえない」との判断を下しており、高く評価できます。会社側の速やかな判決受け入れを求めます。
【報道】
時事通信(8/29)銀蔵元社長のセクハラ認定=元社員が逆転勝訴―東京高裁
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