新しい出生前診断:指針案へのパブリックコメント開始
2012/12/19新しい出生前診断について、産科婦人科学会は12月15日、実施に関する指針の最終案をまとめ、パブリックコメントの受け付けを始めました。
新しい出生前診断は、妊婦の血液を検査することで、胎児の染色体異常を高い精度で判断できるとされています。当初は年内にも実施が開始される予定でした。
しかし、障害をもつ子どもやその親(特に母親)への社会的支援が圧倒的に不足しているなかで、「手軽で安全」というイメージのある出生前検査が促進されれば、障害の可能性がある子どもを産まないという選択を女性にうながすことになるのではないかとの懸念が、障害者団体や女性団体から指摘されていました。
産科婦人科学会は、検査結果の解釈について妊婦に十分なカウンセリングを提供する必要があることを認め、適切なカウンセリングを行う体制が整うまでは新型出生前診断を一般産婦人科に導入しないよう求め、年内の導入は見送られることになりました。
同学会が15日にまとめた指針の最終案では、
●検査対象の妊婦を、35歳以上/過去に染色体異常の胎児を妊娠したことがある/超音波検査などで胎児の染色体異常の可能性を指摘された/カップルのいずれかに染色体異常がある、等の場合に限定
●実施施設を、産婦人科と小児科の医師が常勤し、そのどちらかに遺伝専門医の資格がある/専門外来の設置/検査後の妊娠経過を観察できる場合に限定
などとしています。
同学会はこの最終案について、1月21日までパブリックコメントを募っています。(→こちら)その後、小児科学会やダウン症協会なども交えた審査組織を設置し、最終案確定後に実施施設の認定を行うとしています。
障害をもつ子どもたちの権利が守られる社会、女性が育児負担をひとりで抱え込まされることなく、生む・生まない選択を自ら決定できる社会のために、生殖医療技術の導入には障害者の権利、女性の権利視点からの慎重な検討が不可欠です。以下のサイトなどを参考に、パブリックコメントの機会を活用しましょう。
【参考】
●DPI女性障害者ネットワークの意見書
●「ハイリスク」な女の声をとどける会の意見書
【報道】毎日新聞(12/15)新型出生前診断:遺伝カウンセリング義務付け 開始延期へ