女性人権活動家の保護に関する初の国連決議を採択
2013/12/2511月27日、女性人権活動家の保護に関する初の国連決議が国連総会第三委員会にて採択されました。
多くの社会で、人権活動を行うことにはリスクがともないがちですが、特に女性の人権活動家たち、また、ジェンダー・セクシュアリティ・リプロライツなどの問題にとりくむ活動家たちは、特別な差別や暴力にさらされています。これは、女性は公的領域の活動に携わるべきではないと考えられていたり、ジェンダーや性の秩序を揺るがす彼女たちの活動が、国家や社会の権威にとって重大な脅威とみなされるためです。また、女性活動家の多くは、身を守る資源をもたず、家族やコミュニティからも差別や暴力を受けることが多くあります。
この問題は、2011年に人権活動家の状況に関する国連特別報告者のマーガレット・サカギヤさんがジェンダーに焦点をあてた報告を出したことから注目されるようになり、去年の第57回CSWでもこの問題がとりあげられました。
今回の決議は、女性に対するあらゆる暴力を終わらせること、また、女性人権活動家が直面する国家や民間人による差別や暴力を撤廃する必要を強調するものです。また国家に対して、女性活動家を保護し、加害者の不処罰を終わらせるため、ジェンダー視点に立った対策をとることを求めています。さらに、国連と協力したり国際人権機関にアクセスすることを理由にした国家によるいやがらせを撤廃する必要についても言及しています。
決議はノルウェーほか35カ国がスポンサーとなって提案されましたが、AWIDのレポートによれば、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツや、伝統・慣習・宗教に関する文言に対して、バチカンやアフリカ・中近東諸国を中心に強い反対論があり、これらに関する文言は最終的に削除されてしまったとのことです。
反対論のために重要な文言が弱められてしまったにもかかわらず、本決議は、女性活動家および女性の権利とジェンダー関連の権利にとりくむ活動家に対する差別・暴力を撤廃するうえで重要なステップになると評価されます。
日本では、女性活動家や、ジェンダー活動家に対する攻撃の問題はまだ十分に議論されていませんが、日本軍「慰安婦」問題に取り組む活動家への攻撃をはじめ、多くの共通する問題があります。この決議を機会に、人権活動家への攻撃についていっそうの分析が求められています。