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国連「先住民族の権利に関する宣言」から10年

2017/05/31

 「先住民族の権利に関する国連宣言」(United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples、UNDRIP)が国連総会で採択されてから10年が経過した。2017年4月24日~5月5日、ニューヨーク国連本部では「先住民問題に関する常設フォーラム(Permanent Forum on Indigenous Issues)」の第16回セッションが開催され、合意文書が採択された。このセッションには世界各国から千人以上の先住民族代表が集まり、10周年を記念するとともに、2014年に行われた「先住民族世界会議」のフォローアップや「2030アジェンダ」をどう進めるのか話し合われた。
 先住民の人権問題に取り組むNGOであるIWGIA(International Work Group for Indigenous Affairs)は、毎年5月に、世界各地の先住民の状況を取りまとめた冊子“The Indigenous World”を発行している。2017年は、宣言採択から10年を記念した特別号で、世界59か国の状況とグローバルな取り組みが報告された。
 日本の先住民族の状況については、アイヌおよび沖縄の人々に関する記載がされている。アイヌに関しては、その地理的な記載や、現在アイヌの人々が多く住む北海道が1869年に日本の領土とされたことなど、現在に至るまでの歴史的状況を紹介。沖縄に関しては、地理・歴史的概略に加え、米軍基地が存在し、5万人以上の米軍関係者がいることなどが記述されている。また、2016年に成立したヘイトスピーチ禁止法や、現在も根強く残る差別にも触れ、米軍基地の所在する沖縄では2016年にも2人の女性がレイプされ、殺害されたことも報告されている。
 世界的な状況として、先住民族の生活環境や人権擁護の活動家らが殺害される事件が世界各地で発生していることを報告。また、巨大企業が農業分野にも進出し、先住民族が築いてきた文化や生活が脅かされていることも大きな懸念としている。

【参考】
United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples

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