【北京報告】⑨吹雪の国際女性デー/差別的法について
2005/03/09北京+10報告
3月8日 吹雪の国際女性デー/差別的法について
国際女性デーを記念して、10時から12時まで本会議は休み、特別パ
ネルが開かれた。毎日9時から開かれるNGOブリーフィングも今日はな
く、いつもより少しのんびりした雨の朝。ところが雨はやがて雪に変
わり、みるみる吹雪に…昨日の春日和が嘘みたい。NGOは予定通りに雪
の中でマーチを行ったが、さすがに参加者は少なかった。
10時からのパネルはずいぶんおもしろかったと評判だったが、私は
台湾のグループが開催した「武力紛争防止とジェンダー視点」のパネ
ルによばれていたので、残念ながら聞けなかった。パネルではラテン
アメリカで長く活動したアムネスティの女性や、国連改革にジェンダ
ー視点を反映させるため活動しているNGOと同席、期待していたよりお
もしろかった。「女性の政治家ももっと安全保障政策や軍事に関わる
べき」という台湾のパネリストとは、もう少し議論したいところだっ
たが。
さて本会議の方では、加盟国の合意あるいは投票によって金曜日に
採択されることになる決議10本が出そろった:
①HIV/AIDS
②人身売買
③女性差別的な法に関する特別報告官
④ジェンダー主流化
⑤津波
⑥パレスチナ女性の状況
⑦INSTRAWの強化
⑧経済と女性
⑨アフガニスタン女性
⑩先住民。
このうちNGOはアメリカが提案している2本をもっとも問題視してい
るが、政府間交渉は扉の向こう側で行われており、各国がどのような
態度をとっているのか、どのような修正案があがっているのか、うわ
さは流れるが正確な情報がつかめない。キーパーソンの姿を探しまわ
って情報をあつめているが、今日は情報交換の時間がなかったことも
あり、NGOの戦略を練るテーマ別コーカスがいつどこで開かれているの
かもわからない。今日のところは、明日の朝開かれるNGOミーティング
を待つしかなさそうだ。
ここで、決議案③について関心をもたれる方が多いかと思うので、
少し詳しく書いてみる。レポートの③で渡辺さんが書いているよう
に、この会議が始まってまもないころ、Equality Nowが開催した会議
で、メリル・ストリープが日本の再婚禁止期間について触れたことが
注目された。北京行動綱領では、女性差別的な法や慣習を撤廃し、法
の下の平等を保障するよう政府にもとめたが、ENのレポートが具体的
に指摘したように、10年経っても、多くの国で約束は果たされていな
い(なおENのレポートでは、女性だけに適用される再婚禁止期間のほ
か、婚姻可能な年齢を男性18歳、女性16歳としていることも、日本国
憲法における法の下の平等に反する女性差別的法として指摘されてい
る。詳細はwww.equalitynow.org)。この決議はその状況を変えるた
めに、国連特別報告官special rapporteurの設置を提案するもので、
フィリピン政府とルワンダ政府が提案国になっている。以下に、提出
された決議文案の最後のところだけを仮に訳しておく。
1:北京行動綱領に沿い、国家・地域・国際レベルにおいて、あらゆ
る適切な手段や方法を用いて、性に関するバイアスに基づいて差別す
る法を撤廃し、司法の執行におけるジェンダーバイアスを取り除くた
めの努力を強化するよう諸国の政府にうながす (Urges Governments
to intensify their efforts to revoke any remaining laws
that discriminate on the basis of sex and to remove gender
bias in the administration of justice, in accordance with
the Beijing Platform for Action through the adoption of all
appropriate means and measures at the national, regional
and international levels)。
2:第50回会議において、女性に対する差別的な法に関する特別報告
官の任命のいかんについて検討することを決める(Decides to
consider at its fiftieth session the advisability of the
appointment of a special Rapporteur on laws that
discriminate women)。
今のところ、この提案に反対意見は聞かない。ぜひ実現させたい提
案だが、やっぱりその前に、婚外子差別や夫婦別姓を含め、差別的法
律はすすんで改正させたい。
本山央子