アドボカシー・キャンペーン

朝鮮民主主義人民共和国の核実験問題に対し、人権と歴史的正義にもとづく対応を求める声明

2006/10/27

朝鮮民主主義人民共和国の核実験問題に対し、人権と歴史的正義にもとづく対応を求めます

私たちは、朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」)政府の核実験実施の発表に大きな衝撃を受けています。日本・朝鮮半島をはじめ世界のあらゆるところで被爆者に苦しみや悩みをもたらしている核兵器は二度と使われるべきではありません。東北アジアの友好と平和への道のりを妨げ、地域の人々にさらなる苦しみをもたらしかねない愚行に強く抗議します。

日本政府及び関係各国政府に対しては、武力行使を含む強硬策に依存することなく、平和的解決の道を探るよう求めます。武力行使や、市民生活に著しい影響を与える重い経済制裁は、東北アジアの持続的な平和と安定をむしろ損ないかねません。北朝鮮政府との間の緊張緩和と信頼醸成のために、関係各国が努力を重ねることを求めます。

私たちは特に、一連の危機を口実にして、日本政府がさらなる軍事化とナショナリズムの道に突き進もうとしていることに強い懸念を覚えます。北朝鮮に対する恐怖と敵意を煽りたてることによって、十分な議論なしに憲法改正手続きや共謀罪法制化を進めようとし、あまつさえ公然と核武装を唱えるような政治家の言動は、決して見過ごすことができません。

また日本政府が独自にとった北朝鮮からの全品目の輸入禁止、北朝鮮籍船舶の日本入港禁止の2つの措置は、共和国政府のみならず、共和国の人々との間で行われている市民同士の交流をも含めたあらゆる交流をすべて停止させるものです。市民同士の交流は信頼関係を醸成する重要な機会であり、そのような機会を奪うことは東北アジア地域の平和の実現を遠のかせるものです。また日本には、歴史的な経緯によって共和国に親類縁戚を持つ数多くの人々がいるにも関わらず、唯一の連絡手段を断ち切るような措置はあまりに配慮を欠いています。

とりわけ懸念されるのは、今回の危機によって、在日コリアン、特に朝鮮籍の人々に対する人権侵害が再び悪化することです。日本人拉致事件の発覚後、民族学校の生徒に対する暴力や脅迫、民族学校への補助金打ち切りや朝鮮総連関連の不動産に対する課税、朝鮮籍の事業者に対する圧力が著しく増加しています。マスコミや政策責任者は、朝鮮を植民地化し、解放後も朝鮮半島出身の人々を困窮のなかに放置してきた自国の責任に向き合うことなく、北朝鮮政府と在日コリアン関係機関・人々を同一視するような風潮を煽ることを厳に慎むべきです。私たちは日本政府に在日コリアンの人々に対する人権を守る責任を果たすよう強く求めます。日本が過去に朝鮮半島の人々に対して行った植民地化・強制連行の歴史的責任に向き合うことなしに、東アジア地域の平和と民族差別の撤廃は実現できません。私たちは、在日コリアンの人々と連帯し、人権と平和のために活動していきます。

アジア女性資料センター

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